朝焼けまでのバランスを
nm6

トビウオがサンマの仲間であるのと同じくらい
パラシュートはビニール傘の仲間であるので
空から降ってふわりと揺れる君の昨日のことばと
肌を冷やす冬の雨を避ける僕のかなしみとは
そんなに変わらないはずで

あまりに味気なくはじけるので
いつもくしゃみをしている季節のことを
布団の中
思い出してしまいました

君はことばのあとをすぐ鼻歌でごまかすので
すこしおかしいですが 僕は
ノスタルジーが頭の中で鳴っているので

あきれ果てた思い出のかさなった重箱のすみっこの夜
くりかえしくりかえし突っつかれて気がつくといつの間にか
もうすぐに空に明るいので
すべりおちてブラインドの隙間の駐車場の端の枝の
赤い実を背後からツンと立つ光が 目にしみるようです

もう眠りますが 明日は 昼間でしょうか
夢の中では季節の 冷たい雨が降る白い空気を
「とりあえず」といって吸い込んで吐いて
詳しいことはそのあとにします


自由詩 朝焼けまでのバランスを Copyright nm6 2003-11-25 00:30:26
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