アートのはじまり
秋也

白いTシャツに焼けた素肌
まだまだただの女の子

背より大きな半切の半紙の端
ギリギリを指で摘み
ゆっくりゆっくり指ギリギリまで
半紙を墨汁のバケツに浸していく

破れないように気をつけて
そっとブルーシートの上に置く
べちゃ

巧くできた
摘まんでいた部分の白がほんの少しほんの少し残り
女の子は少女であり女性でもあり老婆にもなった
「ねえ、お母さん見て白がこんなに綺麗なの」

白いTシャツに大きく撥ねた墨汁が最高に格好いいんだ
だって君そのせいで、ママに怒られても笑顔だろう
とびきりの作品
超絶のアーティストだよ

白ってさあ、色ってさあ、本当綺麗なんだよな
描かないって奇麗が目を覚しちゃうんだよね

誇らしい夏の一コマはとても暑くて
蝉がやっぱりうるさくて
白い入道雲も指で守り切った半紙の僅かな端の白も
凄く凄く白かった


自由詩 アートのはじまり Copyright 秋也 2021-07-17 01:30:16
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