一つの詩をたずさえて
ひだかたけし
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く
今は何もせずぼうとして
うねる夏の光を夢見ながら
美しく深まっていく世界を信じ
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く
あゝまた風が吹いている
灰白色の空の彼方から
次から次に吹いて来る
あの大きな風、透明な風に
私は生かされていくのだろう
私は奪われていくのだろう
私は晒されていくのだろう
一つの生をたずさえて
一つの詩をたずさえて