新しい花
やまうちあつし

炎につつまれて
咲いたのだろうか
悪夢にうなされて
散ったのだろうか

頭を垂れる姿は
動物のようでも
壊れた傘のようでも

水の真似をすればいい
高いところから低いところへ
流れるからだ
髪の毛や表面が何色だろうと
魂の色は透明だからだ
(生まれたからには
 そのことだけを)

あらゆる花瓶に挿す花がない
うつくしいものがいるすしている
言葉が後をつけ回すだろう
迷った猫の足取りで

すべて忘れたはずなのに
なぜか悲しい顔

失うことで
わたしはわたしに
近づいてゆく


自由詩 新しい花 Copyright やまうちあつし 2021-07-13 07:34:24
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