夜のランニングコース
番田 

最近夜のランニングに出かけている。誰にとがめられるというわけでもなく、僕は走っていく。でも、走りながら思い浮かべるのは、学生時代に競い合っていた部活の、誰かの顔だとか。あいつは、でも、最後に校門で手を降ったあと、どこに行ってしまったのだろうか。まるでそこが、生死の別れだったみたいに、遠い彼方に彼は消えてしまった。まあ、それぞれの道を、あれから歩いてきたというわけだけれど。僕はというと、地方の大学を出てから、たいした会社にも就職することができずに、新宿の公園を回り込むようにして、面接の後、そして、きっと、帰ってきたというわけだったけれど。


道は気づくと、終わりに近づいていた。窯ではないので、僕は風呂の湯を入れながら走りに出かけるというテクニックを使っている。誰もそんなことをしていても、僕以外にとがめるものはいないというのは、幸せなことなのかもしれない。そして、そんなことを考えながら走るのをやめて、歩き出す。肺を使うということの快感の不思議さを感じながら、角を曲がる。ランニングというのは究極のスポーツなのかもしれないと僕は思うのだ。



散文(批評随筆小説等) 夜のランニングコース Copyright 番田  2021-07-08 01:10:42
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