2秒
入間しゅか

振り向くまで吸って吐くまで行き過ぎるまでこぼれ落ちるまで何本の指がいくつもの「あ」の音の形をした口が消え去ったか。息と思考はきれぎれで今にも崩れ落ちそうで堕ちないと知っていたきみは誰よりもずるかった。焦燥といえばそれはそれで立派な悲しみだが本当は気分の揺籃であり形を捉えるにはあまりにも時間がなかった。でも、きみは隙をついてすきま風みたいなここちよい音にまかせて帰ろうというのか。

   雑踏へ

 もどかしさと
  少しの気の迷い
    をのこして。


自由詩 2秒 Copyright 入間しゅか 2021-06-30 11:27:01
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