ミナト 螢

衣替えの季節になると
高校生の白い背中は
汚れる前の消しゴムみたいで
名前などなくても
世界を変えてしまう走りをする

朝が早いうちに
知っておきたい未来のことを
自転車のカゴに乗せて揺れている間
溢れそうな夢のカケラたちが
宙返りしたら捕まえたいな

虫が飛ぶような空を眺めて
黒板には遠くなった僕の目の前を
追い越してゆく君へ

アイロンよりも複雑な
新しい地図を見るために
白いシャツの襟を曲げて進もう


自由詩Copyright ミナト 螢 2021-06-28 19:08:15
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