新世界
ミナト 螢

くちばしを失くした鳥が
空を叩かなくなったから
こんなにも暗い世界なんだ

会いたい人はもういない
欲しいものはきっと売っていない

あの街ではぐれた心と
似たような色の
ミルクティーで汚れた朝

飲み干した後の身体に
甘さが残るけど
降り続く雨ほど
純粋にはなれなかった

どこへでも行けるのに
動かずに流された
愚かな生き物

嫌われてもまだ
沈黙の中で

全ての匂いを消して
やり直せるのが
夏なんだと思いたい


自由詩 新世界 Copyright ミナト 螢 2021-06-20 11:49:55
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