河 川 水が流れて
こたきひろし

運河の両側には堤防
その片側の堤防に沿って続く道

運河にかかる電車の鉄橋
運河にかかる人とクルマが渡る橋

堤防の上の道に人影はたえていた

夕暮れ
堤防の下の道の端にクルマ一台停まってた
何だかあやしい雰囲気

興味にそそられて堤防の上から下へとコンクリートの階段を降りた
私は時々ホームシックにかかると運河を見に来る十九歳

停車しているクルマの横をさり気なく通り過ぎた
案の定予感は的中した
運転席に若い男 全く知らない顔だった
助手席の若い女の顔に驚愕した よく知っている顔だった

カップルは唇と体を寄せ合って二人だけの世界に夢中になっている様子だった

私は驚愕し、いっぺんに絶望感におとされた

若い女は愛くるしい顔立ちをしていた
その愛くるしい顔と清潔感にみちた容貌そして発育した体
性格の明るさ
私から欠落してるものを彼女は兼ね備えていた
利発そうできびきびした若さに私は心惹かれない訳にはいかなかった

その甘い感情の純粋な硝子が一度にこなごなに壊れて飛び散って
しまったのだ


自由詩 河 川 水が流れて Copyright こたきひろし 2021-06-20 07:56:57
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