だれにだって好もしいものはある、さあ
道草次郎
だれにだって好もしいものはある
それをつまんでちっちゃな卓に載せ
しげしげと眺めてみればいい
むこうだっておんなじことをするだろう
そのとき
好もしいものをえらぶとき
虚飾は無しだ
どんなにそれが意にそぐわなくても
それは
げんに好もしいのだから
ほんとうだ
ほんとうのものだ
だれにだってなにかはある
なにかとは
本性において正直で
それはある種の鏡なのだ
ほんとうのものは
どこかしらそういう要素をはらむ
みんな
知っているとおりだ
さあそれをつまもう
それから
卓をまずはさっぱりとさせるのだ
やれないことはない
だれにだって
好もしいものはあるだから