ソフトな心の真っ赤なウソ
竜門勇気
間違いなく冷たくなってた
あいつ、死んだよ
法律って知ってる?
知らねえ、もう行こう
風呂屋が閉まる
東京はただの街
広島はただの街
日本はただの島
ここはただの場所
眠くなってきたよ
あいつ、死んでるのかな?
当たり前だろ
もう目を覚まさない
眠ってるみたいだったけど
そう、眠ってる
もう目を覚まさない
東京は僕のマッチ
火を付けるだけの道具
一本だけあっても
不安になるだけさ
ひどい顔だったよな
あちこち腫れ上がって
笑える、待て腹いてー
死にたくねーってさ、死にたくねーってさ
言ってたよな
言ってた、そんであれだ
あんなんなっちまってさ
あれさマジ死んだ?本当か?
いや上出来かもな、陸で終わったもんな
いや、違うか、違うだろそんなもんでしかなかったんだから
戻るなよ戻るな絶対
あんなもんが転がってるとこには帰れねーだろ
いいことなんか一つもねー
いいことなんか一つも
お前スニーカー
ほら
ついてる、血
紐んとこ
捨てろよ
俺も捨てるよ
靴紐なんてどうせ窮屈なだけだろ
無駄な癖があった部分がずっとずっとウズウズしてた
もとに戻ろうとして勝手に壊れようとしてる
無駄な習慣が俺を乗っ取って
手を取り合いながら光の中で踊ってる
すべてが過ぎ去ればガラクタを集めてセドリックを作るんだ
東京はただの街
広島はただの街
岡山は父と母のいる街
どこも場所でしかない
その中にうずくまって冷たい嵐が過ぎ去るのを待っていた
なんてたくさん光が走るのだろう
床の上をチカチカと逃げ惑う蟻みたいに光が
瞼の裏は宇宙の底みたいだ
見上げるとほら、こんなにたくさん星が光って
母さん、父さん、見て
僕はこんなにあなたに近くなった
ほら!流星だよ
手をのばすと切れてしまいそうなほど
鋭利で美しいよ
ゴミ箱の横に
コンビニのロゴが入った袋が落ちていた
白く、なめらかで、誰のものでもなかった
中に腐ったなにかが入っていて
その中には僕も混じっていて
翌日八時頃あいつと一緒に壊れた焼却炉で燃やされる