旅の、途中
静
あなたの声が届かぬ場所で
私は独りきりで歩いている
自由と寂寥の狭間の石を
掌の中で転がしながら
己は何て孤独なのだと
さ迷った独りよがりな夜の
街の喧騒と光に慰められて
河の流れで傷みを洗った
六畳の底無しの闇の深さが
境界を取り払い続けて
重い帳の中に辿り着いたとき
心は別の生き物なのだと知る
貴女に生かされたはずの心が
張り裂けながら一つだけ示した
あまねく人は皆孤独なのだと
だからこそ寄り添わなければと
あれから幾つもの季節が過ぎた
波のように打ち寄せては引き
凍った思いを融かしながら
それでもまだ迷い続けるだろう