旅の、途中

あなたの声が届かぬ場所で
私は独りきりで歩いている
自由と寂寥の狭間の石を
掌の中で転がしながら

己は何て孤独なのだと
さ迷った独りよがりな夜の
街の喧騒と光に慰められて
河の流れで傷みを洗った

六畳の底無しの闇の深さが
境界を取り払い続けて
重い帳の中に辿り着いたとき
心は別の生き物なのだと知る

貴女に生かされたはずの心が
張り裂けながら一つだけ示した
あまねく人は皆孤独なのだと
だからこそ寄り添わなければと

あれから幾つもの季節が過ぎた
波のように打ち寄せては引き
凍った思いを融かしながら
それでもまだ迷い続けるだろう


自由詩 旅の、途中 Copyright  2021-05-30 10:20:33
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