sonnet
朧月夜
風の王国に、嵐が吹いた。
嵐は幾人かの人の家の屋根を吹き飛ばした、
そして、住む家を失ったしまった人たちがいる。
すべてが運命? わたしたちはそれに耐えなければいけないの?
あがいて、あがいて、宿命にも負けまいと思う。
常に前に向かって歩んでいる人たちには、
不幸とは単に笑い飛ばすべきものなんだ。
幸福とは、何気ない暮らしのなかにこそあるものなんだ。
風の王国は、やがて嵐の国となった。暗い嵐の国。
今では、少数の住人たちの他に住んでいる者もいない。
それでも祈りの歌は捧げられる――いったい何に?
神々にもてあそばれて、わたしたちの生活は狂わされていく。
嵐の晩、一つの啓示が落ちたのだ。それは残酷とも呼び得るものだったろう。
それでも祈りの歌は捧げられる――ただ生きていくために。