朝のうた
Lucy

疲れ果てて目が覚めたのは
眠っている間によほど遠いところまで旅してきたからかもしれない

虚脱した魂を空っぽの器に見立て
ピクニックのお弁当のように
ひと品 ひと品 飾り切りして詰めていく
一日を歩くための糧

窓に溢れる日の光それか雨の音
小鳥のさえずり
膨らんでいく薔薇の新芽
思いつく限りの優しい記憶
例えば母の日に届いた花束 
書いた詩を褒められたこと
公園の池にいた美しい白い鳥
きれいに隊列を組んで一斉に空を横切って行ったカモの群れ
光りながら流れを下る鮭の稚魚たち

どこかへ帰るためでなく

棒のように疲れた足を
洗いざらしの今日へ踏み出す





自由詩 朝のうた Copyright Lucy 2021-05-27 22:18:13
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