少年
津煙保存
夜の列車に乗り込んでいた。
窓に流れる暗い街の顔。
車窓に投射された、古い白黒映画を少年は見ていた。
雨に侍と農民たちはぬかるみ、矢と刀を腕に、煙と脚に混じりあう。馬は眼を剥き横たえ、敵も味方もしっかり貫かれた。そして旗はなびいていた。空を仰ぐ老侍の、最後の言葉はなんだったろうか。互いの階級に生きた、戦の国の義侠。時代の物語、であったろうか。
作戦を遂行する長の耐え忍ぶ。そろわない隊列に檄が迸る。
夜の列車に乗り込み、窓に流れる暗い街の顔を。目を。
自由詩
少年
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津煙保存
2021-05-25 03:00:17
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