あれからひと月が経ちます
板谷みきょう

詳しい事情は知らないから
発言することは
控えていたいと考えていた

でも

日本に六例しかない
難病の痛みに苦しみ
他人の介護を受けながら
それでも人として
役に立つことを模索し
詩集も二冊出版し
朗読会も開いていたのに

世界的な流行り病のせいか
もともと
持ち合わせていた癇癪に
自傷行為が増え

手元にあるだけの
鎮痛剤や安定剤
睡眠薬なんかを
大量に服用して

これで死ねるかな

なんてSNSで呟いて
友人知人を心配させて
気持ちをリセットする

怒りを露わにして
不満や苦情を吐き出した翌朝
吐物を器官に詰まらせ
窒息して
あっけなく死んでたなんて

まだ整理できない


自由詩 あれからひと月が経ちます Copyright 板谷みきょう 2021-05-16 01:06:05
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