触れて
モクモク小指

震えていたのはふたりだったので愛と呼んだものは互いの孤独の象徴だったのだけれど触れ合った手がすこし濡れていたのはうれしかった



恐れていたのは間違えることだった
都会のネオンが寂しさだと知ってから
布団の中だけが真っ暗だったのだけれど
スマートフォンはあたたかいので
それで、ひたすらに抱きしめて寝ていた

触れ合うのは怖い
知ってしまっても困るけれど
なぜ触れ合うのか分からなくなる
やさしさと習ったものが
やさしさではなくなるとき
めちゃくちゃになっても
やっぱりめちゃくちゃではないので
どこまでもふたりでいることが
世界からの隔離であった
でもやっぱり、それはふたりからの隔離だった
抱きしめられて
皮膚や目や耳や口を全部奪われて
残るものを教えてください
そのときわたしは光るだろうか
ならばそれを寂しさと言うのか
ならばそれがこの街なのだろうか


自由詩 触れて Copyright モクモク小指 2021-05-15 23:14:35
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