悪夢の足跡(そくせき)
ひだかたけし

戦慄の瞬き、濃緑のうねり
冷え冷えとした岩峰、空に貼り付き
街道に沿って、男は進む

連れの女の乳房は揺れて
朝の四時まで密室に二人

都会から、遥か離れ人影無く
恐怖にすくむ、ガードレール下
渓谷深く、足許を抉る

戻らない戻れない
戻る場所はとっくに奪われ
掻き消されていく男の足跡









自由詩 悪夢の足跡(そくせき) Copyright ひだかたけし 2021-05-11 18:36:45
notebook Home