無題 2021/3/30
星染

知らない街であたった陽に 眩しくないと虚勢を張って
目の悪い人になったと力なくわらっている
失うことしかできないわたしたちが 必死で掻き抱いた街灯の弱い蛍光色、災害みたいにわたしたちは肩を寄せ合って
愛ですべてが帳消しになるなんてありえないのに

絶望を綴って良い気になっている
なにもわからないまま大人になってみてどうですか
滑稽な朝の桃色に、呆けたように繰り返す愛のことばに、壁に刺さった刃物に 目の見えない魚に 泣きながら顔を埋めた花束に
恋している、ずっと
真っ白に染まる六等星に名前をつけて がらくたの中に横たわって微睡んだ そこから見えた満天のひかりのこと 嘘でもよかった 嘘でも愛だった
遠くに見える海の向こうで、燃えている大きな国

ちいさな星をあげます 未だ燃え続けている衛星です あわくたしかに燃え続ける永訣です


自由詩 無題 2021/3/30 Copyright 星染 2021-05-11 12:34:35
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