カシュクスの巫女
朧月夜
カシュクスの巫女は、この世の全ての理を知っている。
過去のことも、未来のことも。
ある日のこと、うら若き青年がカシュクスの巫女の元を訪れて尋ねた、
「永遠の生命を得る術を教えてくれ」と。
「それなら、ヤゴンの竜にその身をくれてやるが良い」
カシュクスの巫女は答えた。つまり、食われてしまえということだ。
当然のこと、青年は反論して言った、
「俺は現世の幸福が欲しいのだ、欲しいのは永遠の生命だ」と。
「このような理不尽な答えには、報酬など支払わぬ」
憤りに駆られた青年は、巫女の椅子を蹴りながらまくし立てた。
それでも、カシュクスの巫女は平然としていた。
ヤゴンの竜の体内には、「魂」を集めた青白い球体がある。
そこで、かつて生命であった者が「永遠の安息」を得ているのだ。
それは世界の象徴である。すべてが安寧のうちにあり、すべてが静かに脈打っている。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩