sonnet
朧月夜
優しい魚が生まれてくるまで、
君は汀に立って待っているといい。
「生まれ変わったら何になりたい?」と、聞いたら、
君は「イルカ」と答えた。
イルカでは魚を食べてしまうだろう。
しかし、それでも良いのだ。
君はイルカになり、優しい魚と戯れる。
ちょうど蒲公英の綿毛が風と戯れるように。
吹き過ぎる風に君の髪は急になびく、
まるで待っていた者の訪れのように、頬に触れて、
優しく手のひらで撫でられるように。
「生まれ変わったら何になりたい?」と、聞いたら、
君は「イルカ」と答えた。
その願いはきっと叶うだろう、そして優しき魚と戯れるだろう。