春の連詩
道草次郎
四月
四月はつまずき易い
貰った飴は
ポケットがなめてくれるらしい
至る所で小石が消え
地軸が舌を出す
虹色の粉が降り
即身仏が生えてくる
四月には裏がない
ゆえに
平然とざんこくを働く
春風
そうだよ
春風が悪いんじゃない
いや
やっぱり春風がわるいんだよ
あぁ
なんだろな
あれやこれやから
海原はまるで遠い
地には
柘榴の吐血
南無
にべもなく
花の散る
十六夜
あぁ…孤絶
すっかり切り離され
疚しさの十六夜
夜々
あてもなく
たゆたう
エチゼンクラゲ
小糠雨
小糠雨は
うつくしく忘れている
よいものはみな
うっとりと忘却の底にある
屋根も素敵だ
人称も
緑色になる