丸い目のばあさん
オイタル
丸い目のばあさんが死んだ
これ以上できないほど
お辞儀したままの手押し車で
白い春の花の並びを
ゆっくり過ぎていった
まっすぐ前を見て笑っていた
ばあさんと誰かが呼んだ
娘は泣きすがり
息子はやっぱりお辞儀をし
紙でしつらえた和服の女たちは
上り口でしめやかに微笑んだ
曇った光が静かに祭壇に撒かれていた
「玄関はよく掃いときな」
と
顎をあげてばあさんが笑った
自由詩
丸い目のばあさん
Copyright
オイタル
2021-04-19 20:49:33
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