ソノシート
妻咲邦香

遠のく遠のく
端折るは節なり
遠のく遠のく
ぐるり愚弄の
くぐもれくぐらせ
積もる紅とて
春よ春よと
枯れ草の聖なる
踏み絵の踏み締め
心音待てり
苔むす天の訴えたるは
舌の先にて雷鳴を耕せる
在るよ在るよと
流域立ち上がり
歪むにつれ連打の如く
どんどんどどんどー
消失するには蕾は固く
遠のく遠のく
学びの駅舎に露の戯れ
首から上は欺けど
後生は辻のうろ覚えなれば
遠くの遠くの
外壁のまずは吐息に帰るは
どうか雑音の安らかに身籠らんことを

戸惑いと称賛と
若しくはその間の泥沼
底に乾いた鼻緒の眠れる
針を落としてノックは振動
外周に向かいて到達するが如し
そっとそおーっと
とんとんととんとー


自由詩 ソノシート Copyright 妻咲邦香 2021-04-01 00:15:12
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