堀本律夫
花形新次

私の母は
元ジャイアンツの堀本という投手が好きで
(堀内ではない)
その理由が味方がデッドボールを受けた
次の回に、いきなり対した打者の頭に
ビーンボールを投げたあと知らん顔して
後ろを向いて内野と会話していたからだという
「あれが男やで、あれぐらいでないとアカン」
が口癖だった
私も全く知らない昭和30年代の話だ
私はそんな男気のある人間には
程遠かったので
母は頗る残念だったに違いない
(と言っても母はまだ存命だ)

それでも
母の期待に応えようというか・・・

卑怯な振る舞いをしてその場を逃れても
後になって
しなかった場合の何倍も
後悔の念に苛まれることになるから
そのとき孤独でキツかろうと
言うべきことを言うと決めたのは
いつからだろうか?

でもね、お袋さん
そのせいで周りから
変わりもんて思われるようになってしまったよ

まあ、いいかね?
いいよな
変わりもんって思う世の中が
ろくなもんじゃねえんだから





自由詩 堀本律夫 Copyright 花形新次 2021-03-31 18:54:39
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