吟遊詩人になりませんか?
朧月夜

やさしい歌を歌いましょう。
詩ではなく、歌を歌いましょう。
わたしたちは吟遊詩人の、
あどけない無邪気さを忘れてしまってはいませんか?
恋の歌を歌いましょう。
冒険の歌を歌いましょう。
戦いの歌を歌いましょう。
そして酒場で酔って、すべてを忘れましょう。
明日という日は来るのです。
きっと、訪れてくれます。
都忘れの花を見たとき、
ふと、何事かに気付いたように、
あなたを思い出しましょう。
わたしを忘れてしまったあなたを。
ささいなきっかけで、大切な記憶になった思い出を。
ああ、眠りは……眠りよ。
今日も時はすぎていきますね。
明日も時はすぎていくのでしょう。
明後日は……どうなのでしょうか。いつまで持つのでしょうか。
暗闇は、夜明けは、その先に待ち受けているのでしょうか。
さて、今は気を正気に戻しましょう。
恋の歌を歌いましょう。
冒険の歌を歌いましょう。
戦いの歌を歌いましょう。
すべてはルフランで、
埒もないことなのです。
やさしい歌を歌いましょう。
誰かを助ける歌を歌いましょう。
そして、わたしたちが善き者であることを、
今日も神に祈るのです。


自由詩 吟遊詩人になりませんか? Copyright 朧月夜 2021-03-26 13:01:33
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