ついーと小詩集5
道草次郎
「星くず」
しんだらみんな
星くずさ
だからそんなに
泣かないで
「雨」
いま
雨の音を聴いている
雨を書くとは何だろう
雨のもたらす心象(イメージ)を表現したいのか
雨とはどういったものかを問いたいのか
雨に打たれる石や草を描きたいのか
いったい
雨を書くとは何なのだろう
雨は
ただ雨をやっている
雨は
書いたりはしない
雨は
自分が雨だとは
たぶん
気付いていないと思う
そんな雨の声を
いま
独り聴いている
「きらく」
きらくに
きらくに
いこう
き ら く に
ひらがなはきらくを
つつむ
つつみがみ
きらくに いこう
そうしよう
「比喩」
比喩は比喩の夢をみる
比喩は比喩の樹として
比喩の風にそよぐ
比喩は比喩の中に自らを捨てる
比喩は常に比喩そのものになろうとする
比喩は比喩の翼で何処かの比喩の国へ飛んでいく
比喩は比喩に飽くことがない
だがそれさえも比喩に過ぎないと
比喩は
比喩の心で思っている
「お風呂」
こころあかるくありたい
こころあかるくいられれば
こころひとつで
旅にも出れるような気がする
けれど
こころはこころで
疲れたよという
ぼくはこころをいたわる為に
すこしだけこころを
お風呂にいれてあげようと
そう
思っているのだが
「捨てる」
自分が落ちてたので
ひろって捨てた
あんまり軽くて笑ってしまった
捨てる時は
ドサッ
とか
ぐしゃっ
とか
せめてそんなのが欲しかった
な
なんてさ
「葉っぱ」
葉っぱがひとり
遊んでる
くるんと水辺で
遊んでる
マガモのかきあし
くゆくゆと
樫の木陽に照り
シャンシャンと
うっとり
春のみずうみで
日がな一日
ほだされて
「ふくじゅそう」
ふくじゅそうみて
ないてしまった
「みんな星」
これからは
すけすけの心でやろう
みんないっしょうけんめい
みんな星