セピア色の約束
st

昨日の夢は

ふるい時間の
においがして

いたるところに

ふるい時間が
しみ込んでいた


やさしく迎えてくれた
さびれた建物の部屋のなか

机の上に
ポツンと置かれた写真に

なぜか泣けてきて

音もなくまわる映写機が
セピア色の映画を映し

いつか見たことのある
美しい少女が
たわむれていた


春まだ浅い庭の

咲き始めたばかりの
桜の木のそばで

何か言いたそうに

僕をみつめながら
たたずんでいた

いつか見たことのある
美しい少女


そうだ
約束していたんだ


後悔に
胸が痛くなって

やわらかな

春の朝陽のなかで

目覚めた






自由詩 セピア色の約束 Copyright st 2021-03-20 03:57:32
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