観光バス
末下りょう
ぼくを見捨てたもののためにぼくは死ねるだろうか
晴れた日の正午に
だれの記憶にも残らないやり口で
光のなかで明かりを消すように
永遠より午後の芝居を好むように夜は長くなり
首都が輝きだす
観光バスに揺られ
二つの電波塔からパノラマを眺めて
定番の土産をたった二箱
買って帰る
見捨てられた郊外まで
だれもが知る街の名ばかりを口にするぼくは
口をひらいたぼくは
死体より冷たい
自由詩
観光バス
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末下りょう
2021-03-18 13:00:58