ソウルラヴ
ひだかたけし

黄金の太陽、陶然と
茜に燃やす、この部屋を
開き放て!己のすべて
持続スルこの永久の時に

  ああ、俺の両眼は割れ砕けそうだ!

目が眩む目が眩む
眩暈、眩暈
光の海だ
黄金に躍る光の海だ
底から眼球、ひび割れながら
眼球から涙、滴り落ちながら
〈苦痛〉と同居する〈歓喜〉、
この束の間の永遠が、
夢の如く再び到来するー六畳間を鮮やかに黄に橙に茜に染め上げ。

俺は全身を陶酔に貫かれ
重なり走る畳に跪拝する
降伏、委譲、唸る耳鳴り、
割れんばかりに大地を引き裂き
うっとりと己、畳に沈み込む、
微睡みと覚醒の真ん中で。

瑠璃色蝶が畑の畝溝に舞い降りる!
一億年前の花崗岩から一斉に飛び立つ
無数無数の蝶達の羽音!
眼下には青い海が青空に遠く溶け広がる!
吐きそうだ、吐きそうだ!
奥まる意識に揺らぐ体幹を真っすぐに正し、
部屋を飛び交う無数の光る粒子を視界に捉える。

在るのだ!

林檎が フォークが 机が 本が 壁が 窓が
それぞれの輪郭を自ずと保ち
私の内に 内なる私に
くっきり異様に繋がり在る!

私はゆらゆら揺れながら窓際に立つ
足踏みガラス戸のその向こう
盛り上がった薄暗い雲が突端を白く光らせ天空山脈を形造る
視界に響く鼓動は早鐘、繋ぎ留める意識は痺れ
波打ちジンと震えるたび
閉じた瞼の裏を落ちていく黒い捻れ糸、次から次に。

斜光を浴び火照る頬肉の実感に浸りながら、
自ら別離を決断した家庭的な愛、
それでもだからこそ湧き溢れて来る
全くベクトルを欠いた無防備な魂の愛、
それらの狭間に
私は何時しか静かに座り続ける。









自由詩 ソウルラヴ Copyright ひだかたけし 2021-03-17 20:42:41
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