叛逆
道草次郎

最悪の悪徳。それを寿げ。すました顔で平然と血で汚れた手を差出すのだ。供物のように身を横たえよ、恐ろしい龍や番犬の牙に偉大にも身を捧げるため。そのようにして、いくつもの滅んだ帝國は歴史の溝に清らかにも棄てられる。そしてうららかな、うららかな春の空へ墜落する。戦闘機のように絶世のホモ・エレクトスを伴い、未来へとぐらっと翔こう。

惑星を大跨ぎのひとまたぎ。捻じ曲げるように廃墟を拵えながら、俺たちや俺たちの盗賊は、博物館を愉快に破壊し尽くす。手に持った爆弾と花束で、ダンテのように降りてゆく降りてゆく。俺たちは俺たちのやり方で、天国と退屈に宣戦布告をするのだ。

潔い鳥たちは既に飛び立った。アンモナイトは神秘な次元へ沈んでいった。残されたのは、廃屋。それが俺たちであり、俺たちは、挙って酸欠の猿だ。

俺たちは往かねばならない、ソコから。
赤く爛れたあの太陽の一番醜い黒点の中、そのいっとう素晴らしい真鍮製の虚無に向かって。例えばモナドの双頭の鷲は、インディゴブルーの空で嗤うだろう。或いはシリウスの珪素生命体は、百万年を掛けて悪態をつくだろう。

しかし、しかし、俺たちはやらねばらない。
俺たちは、俺たちの悪徳は永遠でなければならない。業火と猛毒で磨き上げねばならないのだ。全ての幸い、全ての死んだ瞳のため。何よりも、あの、黄昏れゆく天上の純潔のために!


自由詩 叛逆 Copyright 道草次郎 2021-03-16 11:04:29
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