嘘つきプラクティス
月夜乃海花

朝6時、目を覚まして
ひとり、鏡に微笑むの
「わたしはきょうもげんきです!」
口の端引っ張り笑うんだ
「大丈夫、私は元気だから。」
所詮、誰も気づかないよ

いつもの電車
みんなやっぱりスマホや遠くを見てるね
ニュースにゲームに音楽、ドラマ
でもみんな本当は死んでる
本当に笑っているのはどこのだあれ?

「私は今日も元気です!」
「どんなことがあっても笑っていたいの」
そんなことを言いながら本当は自分の首を絞めてる
「だったら、問題ないでしょう?」
「そうです、問題ありません!」
だって私は元気だから!

夜中の2時に目を覚ましてた
せっかくなので散歩してみた
一人ぼっちの静かな夜に
何故かひとり安堵していた

「ねぇ、本当に大丈夫?」
「なんか辛いとかないの?」
そんなこと聞かないでよ
気づきたくないこともあるでしょ?
「どうしてそんなにいつも笑うの?」
「だって泣いても誰も気づかないくせに。」

私は今日も嘘をつく
「笑っていたらきっと幸せになれるから!」
そんなことを言いながら本当はそれも嘘だと気づいてる
「そんなに笑わなくていいのに」
どうして私を否定するの?
「私は今日も元気です!」
ねぇ、私は今日も元気、だよ?

暗い部屋の中
鏡の自分がひとり、ひとり
問いかけてきた
「貴方は一体誰ですか?」
「元気な笑顔の素敵な人です!」
「どこまで嘘をつけば楽になりますか?」
「知らないけれど、もうどうだっていいんだよ!」
気づけば鏡の私は泣いていた

「私は今日も元気です!」
「そう思わないと息が出来なくて」
ひとり泣きながら鏡に吐いた本音
「無理しなくていいんだよ」
「だってもうわかんないんです!」
何が好きか何が嫌いか
誰が誰で私は僕で
どこまで嘘かわからなくなりました


自由詩 嘘つきプラクティス Copyright 月夜乃海花 2021-03-15 17:22:56
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