帰る場所がなくなってしまった
こたきひろし

居場所がなくなって
途方にくれてしまいかけてる

キスなんて一度か二度しただけ
そんな唇を舌で舐めても
そりゃ渇いているだけさ

日は落ちて
周りは昏くなっていく

ためしに心臓止めてみたくなる
そんな気持ちに沈んでいくんだ

ポケットの中のカードは
パスワードをわすれてしまいそうだ

未だに解けない謎を幾つもかかえたまま
壊れて朽ちた
イスから立ち上がる

スイッチの入らない
夜の方角ヘ歩きだすと

遥か遠くで砲弾が爆発し
多くの犠牲者が出ている気配がしている

もう完全に
居場所はなくなってしまいそうだ

これから
どうすればいい

行く場所には
死者が累々と倒れているだろう

このままでは
帰る場所もなくなってしまいそうだ


自由詩 帰る場所がなくなってしまった Copyright こたきひろし 2021-03-14 22:57:58
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