草野春心



  見えないが それは
  熱の蛇が 這っているのだ
  かんぜんな 石を湿らせ
  なにもかもが黙る

  
  熱の蛇が
  這っていくのが見えない
  街はいつも 叫んでいるが
  夫婦たちはいつも 舌を挿れあうが

  
  動悸が
  膨らんだからだを透けて
  大きな 暗渠をくずしていく
  ヴァイブレーションを編みあげていく
  まあ それも 見えはしないが




自由詩Copyright 草野春心 2021-03-07 22:57:30
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