ついーと小詩集2
道草次郎
「大地」
大地がぼくを落とさないでおくのは
それはやはり
大地がやさしいからだ
そうかんがえないと
「今」にいられない
「ゆきがふる」
あの子
ゆきにさわりたいから
ゆきにさわって
うわあ
と言った
人に
それいじょうの行為は
ない気もする
ゆきがふる
「知らないってことが」
知らないってことが
どれだけ有難いことか知れないから
雨の音に遠く耳をすまし
雨のおくに眼をおいていく
ひとつずつひとつずつ ゆっくりと
そうしたらまた
ひとつずつゆっくりと ゆっくりと
ゆっくりになってゆく
やっぱり
さみしいなって 笑いながら
「もう」
もう
どうしてよいものやら
このかんがえは
かんがえにすぎないと
たくさんの
しょもつはいう
もう
どうしてよいものやら
つかれているのだろうか
こずえのとりが
みんなもずにみえる
きっと
つかれている
もう
どうしてよいものやら
ふくじゅそうのわきには
みにすいせん
つんつんつんつんつん
まだおはなはさきのこと
もう
どうしてよいものやら
もう
ほんにどないしよかしら
もう
もう
もう
あ、うしみたいだ
もう
はるはあやうし
「にこっ」
きみがにこっとすると
赦される
きみがもいちどにこっとすると
むねが痛む
きみがさいごににこっとすると
にこっとしている
みっつの表情がこんなにも
ぼくを揺すぶるなんて
全く
思いもしなかったよ
「はな」
お花さん お花さん
あなたのせいざはなんですか
あたしは ねずみどしよ
「はる」
ちょうちょさんがね
けっこんしきあげるんだよ
だからお花が
さくんでしょう?
「用途」
詩集を買いました
良い重しです
用途をその詩人は
やさしく定めませんでした