ロングバケーション
末下りょう
生まれつき
泥じゃなく砂をかためたふたりのからだは穏やかな波にさらわれ
いつしか跡形もなく
消えて
しまって
から
さらさらふたりきりで 小さな
肌のかけら
となり
青い水のさなか
一粒一粒
浮き沈みして
一時も
乾くことなく
きめこまやかさのなかでまた抱きしめ合うことを
夢見ている
. ..
こじんまりした釣り船の ラジオから聞こえたハロー
砂の城に
内緒で埋めたふたりの 黄色く透けた石も
穏やかな波に溶けて
ビールみたいに
泡立ち
この星の揺りかごに
還った
ちょうどこどもたちの遊ぶ声が聞こえる時間帯に うたた寝をするようになった日々のなかで
すっかりふたりをわすれたやさしい記憶のために