やわらかな痕跡
道草次郎

波間に
かき置きして
いつもの行動範囲から
少しはみだしたところを
回遊して来たら
ぼくんちでは
ぼくの
葬式を出していた

しょうがないから
ぼくは
ぼくんちのまわりを
グルグル
まわった

来る日も来る日も
ずっと
まわり続けた

いつの間にか
痩せて
小さくなってしまったが
それでも
何億年間かは
まわり続けたとおもう

今もまわっている


ほら

きみの耳たぶが
じつは
ぼくだ


自由詩 やわらかな痕跡 Copyright 道草次郎 2021-03-05 23:24:46
notebook Home 戻る