匂い
黒田康之

古い家の
庭の奥にある
沈丁花が匂い始めた
古い家の
古い歴史の
春の匂いに
春の陽が
陽だまりが
町中が染まっていく
もう誰も生きていなかった
古い時代の春が
足元から広がってゆく


自由詩 匂い Copyright 黒田康之 2021-03-05 04:11:03
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