明かりと灯り
こたきひろし

私は風
じゃなくて
空から落ちてくる
水滴の類い
じゃなくて
真っ青な空で
吠える太陽
である筈がない

かと言って
私は幕末の若いサムライ
或いは
サムライが恋慕する商家の美しい主婦
などであろう筈がない

だとしたら
私は石器人
もしくは
ネアンデルタール人
そうでなければ
北京原人
北京原人に似ている
森鴎外
だったら
嬉しいかも知れない

以上は
私のあり得ない妄想
私は生涯しあわせになれないんだよ

そうだったんだ
思い出した

私は暗い部屋の中で
暗闇に耐えられなくて
灯りに火を付ける人

そして
火を吹き消す
吹き消す
人だった


自由詩 明かりと灯り Copyright こたきひろし 2021-03-03 07:24:50
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