下を向いて歩こう
妻咲邦香
もし戻れるとしたら、いつがいいだろう?
遠回りしたなんて思いたくないから
黄昏時を好きになった
誰だって最後は自分が一番可愛い
結局落ち着くとこはそこ
悲しい出来事が増えて、またひとりが好きになる
そんな法則に縛られながらも、また出会えるかな?
生まれ変わった先でも
長い長い坂を下る、人気のない畦道の途中
遥か町を見下ろしながら吸い込まれていく
声をもう一度聞きたくて、どうしても
下を向いて歩こう
真っ直ぐ落ちる涙、見られたくないから
跳ねた髪と大学ノートのパディントン
なんとなく好きだったで終わらせたい気持ちと
戦ってるまだ
待ってた心の言葉、声に出したかった
胸に詰まりそうな青臭さと、早摘みの果実の酸っぱさ
もう隠さないでいいよ
帰りたくない
このまま此処で土のように眠れるなら
怖いくらいに引き戻されていく、現実に慰められて
今はどんな夢もいらない
自分が一番知らなかった自分自身
本当の気持ち
下を向いて歩こう
朝までに涙一滴も残したくないから