下を向いて歩こう
妻咲邦香

もし戻れるとしたら、いつがいいだろう?
遠回りしたなんて思いたくないから
黄昏時を好きになった
誰だって最後は自分が一番可愛い
結局落ち着くとこはそこ
悲しい出来事が増えて、またひとりが好きになる
そんな法則に縛られながらも、また出会えるかな?
生まれ変わった先でも

長い長い坂を下る、人気のない畦道の途中
遥か町を見下ろしながら吸い込まれていく
声をもう一度聞きたくて、どうしても
下を向いて歩こう
真っ直ぐ落ちる涙、見られたくないから

跳ねた髪と大学ノートのパディントン
なんとなく好きだったで終わらせたい気持ちと
戦ってるまだ
待ってた心の言葉、声に出したかった
胸に詰まりそうな青臭さと、早摘みの果実の酸っぱさ
もう隠さないでいいよ

帰りたくない
このまま此処で土のように眠れるなら
怖いくらいに引き戻されていく、現実に慰められて
今はどんな夢もいらない
自分が一番知らなかった自分自身
本当の気持ち
下を向いて歩こう
朝までに涙一滴も残したくないから


自由詩 下を向いて歩こう Copyright 妻咲邦香 2021-03-02 22:18:27
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