鈴の音
服部 剛

川の向こう側にある
瓦屋根の
民家の壁に、ひとつ
白いマークがありました

それは鈴の姿をしており
風が吹くと
小さな余白の中から
音のない音が聴こえます

 ちりりん ちりりん 

十人十色の人々が
主役・悪役・脇役を演じる、この街で 
何かを知らせるように
〝風の合図〟は吹き過ぎて

今日もそっと
白い鈴は鳴りいだす








自由詩 鈴の音 Copyright 服部 剛 2021-03-02 19:22:13
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