春に賦す
Giovanni
家を出て 当てもなしに歩いた
道を渡り 林を抜けただ独りで
ふるさとを 遠く離れて来てしまった
戻ろうにも 路半ばを過ぎてしまった
柔らかな陽光は悴んだ掌を宥めた
のどかな南風は凍った涙を温めた
相変わらず ふらふらと 歩いているが
妙に 心穏やかなのは きっと 春のせい
自由詩
春に賦す
Copyright
Giovanni
2021-02-28 23:02:13