モブにもなれない
トビラ
彼女はたぶんセーラームーンなんだと思う
僕の知らないところで世界をまもって
友だちに、おはよう、って笑う
遠目で見る彼女はかわいい女の子
僕には不思議なよくわからない
まつ毛の長さもよく測れないくらい
きっとあの子の夜には秘密の輝きがあって
僕の知りえない恋があって
そうだろうということは僕を俯かせる
机は冷たい
なにでもない
やわらかでやぶれすい僕を
まもってくれているのは、たぶんあの子で
怪物に怯えて尻もちをつく僕をたすけてくれるのは
少し大人びた貴方で
その貴方の窮地をたすけるのは
僕の知らない世界の大人な彼で
突き指しただけで骨折するような僕の指では足りない
弱い
教室を移動するとき
ふと目があって
何も言えない僕の今日が始まる