ふるえる光
塔野夏子
光が ふるえている
小さくかすかな光が ふるえている
君の中の
青く昏い場所
小さくかすかな光は
自らの源を知らず
また何を照らすのか知らず
小さくかすかなまま ふるえている
そして君は気づいている
君がもっと深く暗い闇に
ひたされていたあいだも
その小さくかすかな光は
ふるえながらありつづけていたのだ
今では君は知っている
もっと明るい光も もっとたしかな光も
君自らがあらたな光を
ともすことさえできるかもしれない
けれど君は気づいている
君の心が憩うのは その小さくかすかで
源も知らず照らすものも知らず
ふるえる光のほとりだと