雪ん子坊やたちの大冒険
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天空に浮かぶ

たっぷりと水蒸気を吸った雲が
雪ん子坊やたちのお母さん


その灰色の
スポンジのような子宮のなか

寒気の栄養で
すくすくと育つ雪ん子坊やたちは

やがて成長して

どんどん増える
その重さで

お母さんから
抜け出して

地上へと
降りてくる


抜け出た子供たちは
風たちとたわむれ遊びまわる


木枯らし坊やが近づいて


君たちとってもきれいだね
でも
このまま地上に落ちても

すぐに溶けてしまうし
ちっとも面白くないよ


話しかける

雪ん子坊やたちは驚いて
木枯らし坊やに

なにかもっと面白いことがあるの

と問いかける

木枯らし坊やは

大嵐の父さんが言ってたけど
北の方を目指して旅をすると

君たちが永遠に溶けない
天国があるらしい

そこには
シロクマやキツネなんかがいて
とっても楽しいらしいよ


ほんと! いいなぁ 
いってみたい
いやどうしても行きたいよ

でも 
ここからどうやって行ったらいいの
木枯らしさん 教えて!


雪ん子坊やたちは
木枯らし坊やに泣きついた

簡単さ
君たちは運がいいよ

今ちょうど
白鳥さんたちが北へ帰りはじめているから

僕が君たちに吹きつけて
その背中に乗せてあげる

そしたら
羽のなかにかくれてしまえばいいよ

着いたら
むこうで吹いてる風さんたちが

きっと
君たちの天国へ運んでくれるよ

あっ!
さっそく白鳥さんたちがやってきた


準備はいいかい
それじゃあ吹きつけるよ


雪ん子坊やたちは喜んで

木枯らしさんありがとう
お元気で!


木枯らし坊やに礼をする


ヒユ―という音がして

雪ん子坊やたちは

白鳥たちの背中に乗っかった








自由詩 雪ん子坊やたちの大冒険 Copyright st 2021-02-17 08:56:02
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