悶絶句
a i

もはや、苦々しい毒薬を飲むような、痛みもなくなっていた。たった1本2〜3mの縄が、この世の一切の苦しみから救ってくれる。これ以上の薬があるだろうか。なのになにが悲しくて涙を流すんだろう。大好きな音楽を聴いていれば、なにもこわくなかった。

この世でいう「薬」が、この体には「毒薬」に変わった。私にとっての「当たり前」が、世界にとっての「非常識」だった。なんて生きづらい世の中だろう。なんて息がしづらい世の中だろう。喘ぐように、もがいている。

絶望がないと生きていけない。絶望という味がないと、渇きを潤せない。生きてることを実感できない。痛みがないと、生きてる幸せを実感できない。痛くてもいいから、人間の仲間入りをしたい。

あぁ、やわらかな倦怠にもどる。神のゆらめきとその手の光によって、いまだ生きている。あぁ神よ、この苦しみに悶絶するのがワタシでよかったな。苦しみ、悶絶し、身悶えしながら、光を見い出すのが芸術家の役目なら、この痛みに耐えられるものなど、そうもいないのだろうから。


いまだ尚生きていることを、生き恥だとは言わせない。命を懸けているのだから、其処に価値などつけさせない。

これがわたし(詩人、哲人、異人)の生きる宿命(さだめ)なら、甘んじて受け容れよう。かような痛みには慣れている。人と交わることで、つらく(孤独に)なる運命(さだめ)だろう。だから今宵も君のいる部屋へと逃げこむ。

うまくいかないことなんて、この世の中にあふれている。この手のひらに刻みこまれている。人と交わる(かかわる)ほど、針に刺されるように痛い。しかし、それが指針となるように。天然の、我が方向を指し示す、こころの指針へとーー・・・・・・。


自由詩 悶絶句 Copyright a i 2021-02-15 19:52:34
notebook Home