スプリットタン
カマキリ




青空に白球が高く高く沈み
二度と落ちてこないような気がしていた
外野手は優しく恋人に触れるように
右手をフェンスにそっと添えて
これから起こる無常を背中で伝えている
ぼくはといえばマウンドの上で
きみの蛇みたいな舌のことばかり考えていた





自由詩 スプリットタン Copyright カマキリ 2021-02-15 02:26:56
notebook Home