水葬模型
道草次郎

今、生をうける。
今、そのかろく、うつくしくもあるアポトーシスの進行形。

れっとう意識から発せられたものでなくして、
垂直な風の歌
お前はそれを、いつ問うだろう。

この倫理のなにかもが
創意、だとでもいうのなら
想うに、
灰も傷んだ星座も吝かでなし。

朝四時半の水葬。
まだねむるせかいにくびられた裸形の空、
そんなもの、
綴じ蓋をすればよいのだ。

おおっ、
地平線をなくした
おとなしい家禽やらの眼底筋。

今、生をとざさず。
今、ただ息吹となって、祠として存るだけの充溢、
その背中よ。

し終えはく気息の嫋々たる事。
嗚呼あんまり
押付けがましい詩ばかりなのが
この期に及び、
却って、可愛い。


自由詩 水葬模型 Copyright 道草次郎 2021-02-07 19:27:03
notebook Home