私は私以外の何者にもなれません
こたきひろし

私はカフカの変身を読んだ記憶はありません
小林多喜二の蟹工船も倉橋由美子のパルタイも読んでません
ただ書店で何度か本を手に取った記憶はあります

私は芥川龍之介の芋粥は完読しています
太宰治の走れメロス読みました
吉行淳之介の原色の街も読みました
五木寛之の朱鷺の墓は読んでしまいました
それらは書店で買って読みました
どこかの図書館で読んだ訳ではありません

だけど気づいたんです
気づいてしまったんですね
小説なんて読むものじゃなくて
自分で書くものなんだって
それからの私は小説一切読まなくなりました

だけど小説書きたいなんて漠然とした発想に過ぎませんでした
その証拠に習作はおろか一作も書き上げてませんから

私は子どもの時分から自分と言う殻に閉じこもる傾向を強く持ってました
それは親のしつけとか教育とかまったく無関係ですが
それは年齢がかさなるにつれて強まりました
人間の性質性格って本人にはどうにもならないんですよね

だからといって私は孤独を愛してしまう人ではなかったと思います
その反対で人並み以上に孤独を忌み嫌う人でした

ただ言える事は自分を必要以上に愛してしまうんですね
人は誰でもそうですがね
私の場合その愛し方が下手だったんでしょうか

他人と信頼関係容易に築けないんですよ
コミュニケーション能力の著しい欠如かな
自分では当たり前で意識してないんですけどね

なんて言ったらいいんだろう
たとえば排他的人間水域を広げてしまうとか
我ながらグッドですね

そこで相談なんですが
何とか変えられませんかね
こんなに私と言う人間を

貴方の知恵を是非お借りしたいです

無理ですか
無理とおっしゃいますか

一度根付いてしまった人間性は生涯そのまんまだって答えなんですか

私は私であって私以外の何者にも変われない前提で
お伺いしてはいるんですが


自由詩 私は私以外の何者にもなれません Copyright こたきひろし 2021-02-06 06:51:36
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