銀の森
塔野夏子

銀の森へ行こう
君の果てと僕の果てが
かさなりあうところにある
銀の森へ行こう

銀の森へ行こう
そこには透明な木霊たちが棲む
たぶん 君も僕も
歌うことができなかった歌たちの木霊
その響きに耳をすませるために
銀の森へ行こう

銀の森へ行こう
その奥には円い池がある
その水面に映るのは
たぶん 君も僕も
見ることが叶わなかった夢たちの影
そのほとりで
僕ら二人
はじめて出会うかのようにもう一度出会うために
銀の森へ行こう

銀の森へ行こう
すべての忘却がやわらかく僕らを包む
銀の森へ行こう



自由詩 銀の森 Copyright 塔野夏子 2021-01-31 17:05:05
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